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第9章

再会

数ヶ月が経っていた。

銀座四丁目のことは、忘れていたわけじゃなかった。ただ、思い出さないようにしていた。理由はわからなかった。

会社のホームページをリニューアルすることになった。担当者が何社か呼んで、提案を聞くことになった。

初回の打ち合わせの日、来客を告げるインターフォンが鳴った。

顔を上げた。

ガラス越しに、男が立っていた。

ああ。

それだけ思った。

向こうも気づいた。一瞬、止まった。でもすぐにドアを開けた。

「黒岩デザイン、黒岩礁と申します。」

名刺を差し出した。百合は受け取った。

「蓮見百合です。よろしくお願いします。」

普通に、打ち合わせが始まった。

一時間後、会議室に二人が残った。

黒岩が資料を片付けながら、言った。

「銀座で会いましたよね。」

百合は少し考えた。

「振り返りましたね、お互い。」

「そうですね。」

黒岩は笑った。屈託がなかった。

「この後、時間ありますか。」

百合は3秒考えた。

「ありますよ。」

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