帰国して、芸能時代のコネで美容機器輸入商社に就職した。
気づいたらそうなっていた。いつもそうだった。
1年後、結婚した。
夫は仕事でミスが続いた。浮気をした。百合は知っていた。でも何も言わなかった。彼が葛藤しているのが見えていた。成長してほしかった。ただ、それだけだった。
アムステルダムへの転勤が決まった夜、夫は言った。
「お前はついてくるな。」
百合はその一言で、全部わかった。
浮気相手への気持ちが、本物になった。そう直感した。
「わかった。別れましょう。」
舅に呼び出された。
「世界中の超一流の弁護士を使って、お前なんかぶっ潰してやる。」と言われた。
百合は舅の顔を見ながら思った。この人は、怖いんだ。
「別れていただければ結構です。慰謝料の請求はいたしません。」
それだけ言った。
舅は何か言おうとした。でも百合はもう立ち上がっていた。