黒岩から連絡が来なくなった。
森にいるから、当然だった。
百合は朝、会社へ行った。夜、部屋に帰った。本を読んだ。眠った。また朝が来た。
静かだった。
離婚してから、ずっとこうだった。嫌いじゃなかった。でも時々、夜中に目が覚めた。
なんのために生き残っているんだろう。
そう思った。
怖くはなかった。ただ、わからなかった。
答えが出ないまま、また眠った。朝が来た。会社へ行った。
それだけだった。
ある日の昼休み、近くの公園のベンチに座っていた。
コンビニのサンドイッチを食べながら、鳩を見ていた。
鳩が3羽いた。パンくずを奪い合っていた。
百合はサンドイッチの端を千切って、少し遠くに投げた。
鳩が3羽とも、そちらへ走った。
しばらくして、また奪い合いが始まった。
百合はそれを見ながら思った。
鳩も、同じだ。
怒る気にもなれなかった。ただ、そういうものだと思った。
サンドイッチを食べ終えて、立ち上がった。
空が青かった。
なぜか、泣きそうになった。
理由はわからなかった。