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第1章

銀座四丁目

信号が青になった。

人が動き出した。百合も動いた。

交差点の真ん中あたりで——なぜか、足が一瞬止まった。理由はわからなかった。

すれ違いざまに、見た。向こうも、見ていた。

1秒もなかったと思う。でも妙に、長く感じた。

知っている。

そう思った。でも知らない顔だった。

人の波に流されて、男は消えた。百合も歩き続けた。

交差点を渡りきって、なんとなく振り返った。

向こうも振り返っていた。

また、目が合った。

ただ、それだけだった。

百合はまた前を向いて歩き続けた。

夜、部屋に帰ってから、彼のことを思い出した。

なぜか、忘れることができなかった。

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